六月中旬。中間考査も終了し、多くの生徒が試験という名の枷からはずされ、のほほ〜んとしているうちにテストは採点され、その生徒達はあっという間に現実を叩きつけられた。一部の生徒はそんな心配もしないで良く、また他の一部の生徒は一教科毎に地獄を見る羽目になる。最も、考査終了直後から文化祭に向けて二ヶ月半の間その準備に追われ、気が付いたら次の考査で地獄を見るものはその数を増すだろう。
 そんなある日、ホームルームが終了し、生物室の掃除に当たっていたので向かおうとしていた。雑踏と化した教室を横断してくる男子生徒がいた。
「おいユキ、生徒会長殿が呼んでるぜ。何でも旧棟の取り壊しについてだとかだそうだ」
「藤崎、お前が連絡係とか珍しいな。どういう風の吹き回しだ?」
「いや、授業サボって校舎裏で寝ていたらあいつに捕まっただけさ。それじゃあ俺は他の奴らにも伝えてくるから、そんじゃな」
 それだけ言ってからまた教室を横断して出て行った。
 はてはて困ったな、掃除と生徒会の仕事が被ってしまった、こりゃさっさと掃除を終わらせるしかないか、一人考えを巡らせながら生物室に向けて足を進めた。

 速攻で掃除を終わらせ、連絡を受け取ってから六分後というタイムで無事生徒会室にたどり着くことに成功した。そして扉を開くとそこには生徒会長しかいなかった。
「篠原先輩、一体何の用ですか?文化祭についての寄せられた質疑事項の処理をしないといけないのですが」
 生徒会長、もとい篠原咲はその最も当然といえる疑問に対して完結に答えた。
「ユッキー、君は今特に必要ない。」
「・・・」
 全く持って二の句を告げない。何のために急いで来たんだ?こっちはこっちで忙しいというのに。
「いや、正確に言えば君は連絡係としてただ此処にいて欲しい。ただその必要性は極めて皆無に等しいというだけだ。ではボクはちょっとばかし先ほど発生した問題を解決しに行って来る。君が来るのが遅いせいで問題の悪化が心配だ」
 一方的にそう言うと部屋からそそくさと出て行った。この生徒会室に一人残された自分はただ呆然とするばかりだった。すると丁度入れ替わりに藤崎が入ってきた。ここまで走ってきたのだろうか、息を切らしている。ぜいぜい喘ぎながら奥にあるパイプ椅子に座った。
「なぁ藤崎、他の面子はどうしたんだ?全員呼ばれたんだろ?」
「そうだ。だがみんな旧棟の方に向かったぞ。何でも旧棟にいた同好会の奴らが旧棟取り壊し反対の為に午後の授業サボってまで旧棟に張り付いてるそうだ。ほら取り壊しの作業、今日の午後からだったろう?」
 旧棟取り壊し問題は、消防署から老朽化したために取り壊しの令が下った。しかし、旧棟には多くの文化系の同好会が部室と使っており、取り壊しの反対や新たな施設の設置を要求するデモ行進まで起こすものまでなっている。生徒会としては、とても飲み込めるものではなく、ずっと否定していたために今回のような事が起こってしまった。
「その事も考えて授業中に取り壊す事にしたんじゃないか。それにこの情報は他の生徒に漏らさないよう注意を払っていたのに」
「いや、どこかで情報が漏れたらしい。それになユッキー、あの鬼会長の事だ、何か秘策でも用意しているだろ?俺らはのんびり待っていればいいんだよ」
―ふむ、困った、教室にいろいろ道具を置いてきてしまった。これじゃあ仕事できないじゃないか
 一人思考していると、突然電話が鳴った。すぐに出てみると、相手は菅原美江からだった。
『先輩、藤崎先輩はその場にいますか?』
「うん、いるよ。ちょっと待ってて」
 そして、パイプ椅子に座って寛いでいた藤崎に部屋の子機の方を放った。
「菅原さんからだよ」
「ん、俺にか?何の用だろ・・・はい、電話かわったよ〜・・・ん〜、何でも言ってよ〜、力になるよ〜・・・えっ、でもほとんどその中なんだけど・・・ん〜取りあえず集めれるだけ集めてみるよ、それじゃあまた後で〜」
 藤崎はそう言って電話を切ると、すっと立った。
「そういうことだ、ユッキー。ちょっと行って来る」
 自分が、どういうことだよ、って突っ込もうと思っていたら、既に部屋の入り口まで移動していた。そして左手で制服のポケットから携帯を出しながら、
「ユッキー、留守番よろしく〜」
 そうとだけ言って部屋から出て行った。どこかで、ドスン、という音を聞いたような気がした。何の音だろうか、疑問に思いながら部屋のパソコンを立ち上げた。
 教室には自分一人だけがいた。自分は黒板に書かれたいたずら書きに見入っている。それはしりとりの途中の言葉なのだが、心に何か響くからだった。

『ふく水盆に帰らず』

「寝てしまう前には書いてなかった事だな」と一人呟いた。
 寝ている間に外は幾分か暗くなり、太陽も半分くらい沈みかけていた。そろそろ帰るか、と思い、机の中の教科書を整理し、鞄に詰めていく。
 その時、教室に一陣の風が吹き込んだ。窓ガラスががたがたと揺れ、教卓に重ねられた配布物のプリントが吹き飛び、床の上に散る。どうやらこのクラスの担任が配り忘れたものらしいが、風はそんな事もおかまいなしに、そのまま開けっ放しになっているドアをも通り抜けて行った。
「やはりもうこの時期になると寒いな」
 すっかり周りは秋の色を深くしていた。制服は一月ほども前に冬服に移行した。木々もすっかり紅葉し、いや最も、それすらも通り過ぎ、葉は散り始めている。暑かったという感覚はとうの昔の記憶となり、冬になってまた『夏はいつになったら来るんだ?』となるのだろう。
 鞄に教科書を詰め込み終わったので、落ちた配布物を整理するために腰を屈ませて、多少皺くちゃになったプリントを集め始めた。しかし、その途中で後ろかけるものがいた。
「あー、ユッキー、何してんのー?」
 いつの間ドアの元に女子生徒が一人立っていた。そしてその人はほとんど足音を立てずに、自分の元に歩み寄ってきた。
「ユッキー、もう皆が待ってるんだけど?まさかパーティの事を忘れていたんじゃないでしょうねっ?」
「いえ、篠原先輩、決してそんな事はないです。今から向かおうと思っていました」
「ん、そうなの?だったら早く行くよ、ユッキー」
 そうして自分は篠原先輩と共に教室を出て行った。

 キーン、コーン、カーン、コーン。
 聞き飽きたチャイムと共に多くの生徒が教室を飛び出していった。その姿を追うように直前の授業で教えていた化学の岩山先生がきちんと授業終了の挨拶をするよう叫んでいたが、学級代表共々立ち去っていったのだから全く持って無意味だった。先生は時機に呼び止めるのを諦め少し落ち込んだ様子で教室を後にしていった。
自分は目を擦りつつ、今ある状態を確かめようとした。
―ん、今のは四時間目終了のチャイムか?
授業開始五分後にはすっかりと夢の中に引きずり込まれていたので今日の分のノートは真っ白だ。まぁ、それはいつもの事で、後でノートを見せてもらえればいいか、と考えつつ、取りあえずお腹も空いた事だし昼にするか、と思い、玄関の自販機まで飲み物を調達するために席を立ち、教室からでた。
―それにしてもなんか嫌な夢だったなぁ
気がついたら既に教室に戻っていた。ガヤガヤと喧しい教室の中で沈黙を保ったまま鞄の中から今朝コンビニで買った昼ごはんを取り出し、誰かに捕まる前にさっさと屋上へ向かう事にした。
そして廊下を進み、三階層分階段を上ると、屋上に通じる鉄扉があった。築三十年になるこの学校で最も古いと感じる場所が此処だ。扉は軋むし、ところどころ錆びていて、心なしかその匂いを感じる。
そんな事を思いつつ、鉄扉を明けるとそこには素晴らしい晴空が広がっていた、と行きたいが、人生そんな都合も良くなく今日は生憎の曇空だ。冷えたコンビニ弁当の蓋を取り、脇に入っているソースをフライにかけて、割り箸を割った。
―さっきの夢、篠原先輩が出てきたようだけど何かおかしかったような・・・
 「・・・全然覚えてないか。取りあえずこれ食べちゃおう」

こうして自分は日常を送っているが、自分の中では既に日常と呼べるものではなくなっている。何故そうなったかというと、話は長くなるが、人間ああいう体験をしてしまうと、すぐには“元の日常”というものに戻れない。今が普通なのか否か、十分考えたが、やはりここに来るとあの事を思い出して仕様が無い。非日常化した原因はやはりあの日まで遡るのだろう。
そう、全てはあの日、文化祭準備開始の一週間前に始まった、はずだ・・・

7/22現在、加筆修正で更新

無題

2007年6月16日
風邪なぉらない六月中旬

さて、今まで書いてきた小説も飽きたs(違

ちょっと周りから色々刺激を受けて
学校モノにちょっと転向

二種類の小説を交互(?)に書いていく方向になると思われる

それから今までに書いた小説をいくらか修正していく〜
章間

 明日は避難訓練だったかな・・・
潤はパソコンを目の前にしてキーボードをリズム良く叩いている。
 嗚呼、そういえば明日は古典の小テストがあったっけ・・・
そんなこんなを呟きつつ、目の前にある宿題をアニメのキャラソンを聞きながら解いていく。
 パソコンを使って勉強するなんて、やっぱり変わった塾だよなぁ。
 二年前まではずっとゲームをやる機械、としか見てなかったしなぁ。
無駄に感嘆詞の多い独り言である。
 とりあえず、今日やった魔法の呪文の復習をやるか。
そしてキーボードから手を離し、画面に映った呪文をジックリ見る。
それからそれを頭の中に思い浮かべて、間違いが無いように呪文を口にする。

その頃、潤を見ている人が一人いた。
 嗚呼、眠い。
昨日は早く寝るべきだったと後悔した。
後悔先に立たず、正にそれだ。
しかしこれで任務が終わった。
そろそろ帰還しよう。
 もう此処にいてもなんの意味を持たない。

別の惑星?

2007年4月16日 平行世界
 潤はブラウに連れられて潤が気絶していたと思われる建物の中から出ていた。潤は自分の記憶から、此処は自分の家の近所であることに気付く。どうやら今はまだ昼間のようだ。下校途中の小学生の姿も見えるし、買い物袋を自転車に乗せてよろよろ走る近所のおばさんの姿も見える。そして10分も歩いただろうか、人が段々と閑散とした場所になっていく。
これから一体どうしようとするんだ?
「それは付いてくれば分かりますよ。事情はさっき言ったとおり立て込んでいましてね、しばらくはじっ、としてくれれば嬉しいです」
 尤も潤は後ろ手で手錠、口をガムテープで止められ、またそれらの拘束具は魔法で消されている。抵抗しようにも何もできない。
それに何かしようとしても・・・
「その通りです。僕は貴方の心を常に読んでいますから」
 にっこりと笑い、更に言葉を続ける。
「お話したとおり、今は貴方の家に向かっています。何度も言いますが、そこで今何が起きているか申し上げることはできませんが、貴方がそれを見たとき何が起きるか予想できませんので・・・いえ、予想はしているのだからこそこの様にさせていただいております」
 そんな事言われてもなぁ・・・こんなことされる謂れなんてないのに・・・
明日は塾あるのに・・・塾にどれだけのお金がかかっていると思っているんだ?それに本だって読みたいのに・・・
「そんな事をおっしゃられましても・・・まぁ、簡単な事ですよ。貴方は唯それを見ているだけで宜しいのですので」
 そして家までほんの僅かしかなかった距離が零になっていく。それまでの間、潤は一人今までの事を思い出していた。河原で出会った謎の二人、時空遡行してその時代にやってきたのだと言う。しかも元の時代との間には時空断層があるのだとか。そしてわざわざその時空断層を超えて自分に会いに来たのだと言う。それからどうやら時間を越えて過去に来たらしい。そこにはブラウだとかという男に出会い、今拘束された中で自分の家に向かっている・・・。あまりに非現実すぎる・・・こんな事が起きていいのだろうか?こんな事が起きるくらいなら宝くじが当たる事にすがった方がまだ現実を見ている。
「さぁ、着きましたよ。もぅそろそろ貴方の知らなかった事がこれから起きる筈です」
 そういうが速いが、ブラウは潤の体にステルス化する機械を装備させ始めた。そして手近の電柱に手錠の片方を固定させた。
 一体何をするつもりなんだ?
「安心してください。これは貴方の安全を保障する方法ですから。唯貴方は見ていれば宜しいのです」
 そしてブラウは立ち去った。ってこれからどうすればいいんだ!?
とパニックになっている内に潤の家から誰か人が出てくる。四十歳前後の若白髪の混じる男性が一人。そしてその後ろからはその妻かと思われる女性もまた出てきた。二人とも目の下にくまを携えている。雰囲気的に寝起きのようだが、その目には絶対の自信が目立つ。更に家の中からは十歳ほどと見られる一人の少年が出てきた。
 ってこれは・・・まさか・・・そんな・・・
 潤の姿は誰にも見えていないし、その声が回りに漏れる事が無い。だから彼がどのような状態にあるかは例えこれが物語か何かだとしても作者にすらわからなかっただろう。
 家族と思われる三人は家の中から出たあと、今潤たちが来た道へと歩んでいく。その前方からは一台の自転車が走ってきてすれ違っていく。またすれ違いざまにその一家に向かって一言挨拶した。
「あ、お早う御座います、哀川さん。今教授の家に向かおうとしていたのですよ。例の研究の結果が出ましたので」
 それに呼応して自転車の運転手に家から出てきた男性は返事を返した。
「嗚呼、やっと結果が出たのか。すまないがポストに入れておいてくれ。ちょっと出かけねばならないところがあるので。代金についてはいつもの様に大学に付けといてくれ」
「はい、分かりました。それではまた後日」
 日常的な会話が過ぎていく。教授と呼ばれた男性は哀川享一。今までに多くの研究の末に様々な発明品を成功させている。それ故に多くの資産があるとも言われ、またお金に執着せず、発明するものの中には武器もあるとされ、政府機関などに影ながら“マッドサイエンティスト”と称されてもいる。
 自転車に乗った人と別れ、また一家は歩み始めた。その時、前方五メートル先にある曲がり角から一台の自動車が曲がって来た。そしてその赤い車は彼ら一家の脇をすれ違っていく。
「今日は潤の誕生日ですからねぇ。何でも好きなものを買ってあげますよ」
「わーい!じゃあ僕、今年号の“魔法年鑑”と“グロック19”が欲しいな」
 “バタッ”
「・・・っ!」
 何かが地面に倒れたと思われる音と同時に、享一は潤の前に飛び出し、霧を出現させる呪文を唱えた。すると当たり一帯に白い靄が立ち込め、視界が悪くなった。
「・・・いいか潤・・・一度しか言わないからよく聞け・・・××××××・・・」
 潤は納得のいかない顔をしつつも頷いた。その言葉はとても聞き慣れた言葉であり、また自分の父親が何故いきなりそのような事を言うのか分からないといった所だ。
 “チュッ、チュッ”
 聞きなれないその音が二回程聞こえた。否、周りは相当うるさかったので空耳かもしれないが、潤にはその音が聞こえた。そして傍らにいた享一が目の前で倒れた。
「・・・えっ、どうしたの?父さん?」
「早くもう一人を・・・いや、魔法でいいから早く」
 そして潤は何がなんだか分からないまま意識を失った。
 僕は宙に浮いている。
 僕が宙に浮いている。
 何故に・・・・・・

 時空断層が起きたのはあの時である。
 ちょうどその出来事が起きたとき、その"時代"にいるはずのものが、脱出不可能となった・・・・・・時空断層と言う名の牢獄から。
 それは6人の人間である。
   一人は異星からの"救世主"
   一人は次元からの"協力者"
   一人は過去からの"統括者"
   一人は怒涛からの"改善者"
   一人は虚無からの"生還者"
   一人は××からの"×××"
 
 宙に浮いている。
 僕は知っている。
 6人の人間がいてはならないのに・・・・・・
 いる理由も・・・・・・
 どうやって来たかも・・・・・・
 全て知っている。
 何故知ってるかって?
 さぁね。
 知ってる人に聞いてください

 3017年9月某日。
 一人の男がその日、宙に浮いているのが発見された。尤も、この世界では当然の事なので、何か争い沙汰になるわけでもない。大事なのは、その姿が誰にも見えないということなのだ。
 え?
 見えないのに何故発見されたかって?
 
 それはただの布石だよ。

 
 
 空からの眼下には、二つの血まみれとなった肉の塊がある。
 たった今、交通事故が起きたのである。
 そしてその傍らには、子供が一人。この位置からでは性別を確認できないが、どうやら泣いているという事だけは確認できる。
 どうやらそろそろ事が起こるらしい。
 何を知っていようとも、これを見守るしかないのか・・・・・・

 潤はいつの間にか気を失っていたようだ。
 気をしっかり持とうとするためにポケットからのど飴を取り出し、包みを取り除いて飴を口に放り込む。
 特に時間の移動は見られないが・・・・・・あの奇妙な二人組みは姿を消している。まさかと思い、ポケットの中に手を突っ込む。
 "ああ〜よかった・・・・・・財布は無事だ・・・・・・"
 何分にも一人暮らしであるため、お金は大事である。
 先週すられたしな。
 気が動転していたが、よく回りを見てみると、何かの建物の中にいるようだ。電気もついていない。
 とりあえず、部屋の薄明かりの中、電気のスイッチを探して回る。探しているうちに部屋の入り口に着いた。そしてそのドアをくぐってみる。
 真正面に扉。部屋を出て右はエレベータホールの様だ。左側にはトイレ、とある。
 部屋から出て、エレベータホールに向かってみる。どうやら此処は地下2階みたいだ。そしてエレベータのボタンを押した。
 しばらくして、チンッ、という音と共にエレベータが到着する。扉が開いてみて潤は驚いた。
 止まっていたはずのエレベータをこの階に呼び寄せたのだからありえないはずなのだが、そこには一人の人が乗っていた。

 「やぁ潤君。やっと目を覚ましたみたいだね」
 今、目の前にいる人は過去から来たと言っている。信じられるわけがない。過去から来たというなら、どうして今現在では時空遡行ができないのか。未来から来たというのなら分かるが・・・

「簡単な事ですよ。一言で言えば、我々はこの惑星の住民ではなかったからです。言うなれば、宇宙人のタイムトラベラーです。この星ではまだ時空移動は不可能です」

 さっきから土手にいたもう一人の人が更に話しかけてくる。

「私達は貴方を守る為にやってきたのよ。分かったらさっさとあんたの家に招待しなさい」

「カーキ、少し横暴だよ。抑えて」

 これはコントか何かか?

 きっと金のないお笑いコンビか何かに違いない。あのドラ○もんみたいな奴もきっと夢に違いない。早く家に帰ろう。お腹も空いたし。いや、その前に一眠りだな。借りてきた本を読み切るためにも。

「潤さん。貴方は気が付いているはずです。貴方の両親が亡くなった時に不思議な感じがしたのを。そして覚えているはずだ。御父さんの方から10才の誕生日のときに教えてもらった7文字の言葉を!」

 そんな・・・何故こいつらがその事を・・・いやありえない・・・過去から来ただ!?・・・信じれるものか・・・たとえどんな呪文を唱えようとも・・・時空を変化させるような魔法は使えないと・・・証明されているはずだ・・・

 潤は今、一人暮らしである。何故ならば、彼の両親は4年前に他界した。不幸なことに、その両親はひき逃げにあったのだ。すぐに病院に搬送されたのだが、時既に遅し。間に合わなかった。そして今に至る。

 大体、こんな意味不明な人たちを家に招きいれるわけにも行かないしな。

「信じることができないようですね・・・ではこうしたら如何でしょう?」

 
その晩。彼等はその河原に居た。

 明日は誕生日だったな・・・潤はまた嫌な事を思い出していた。

「明日は貴方の誕生日でしたよね?その時、貴方に何かしらの変化が起きる筈です。時空断層は明日がちょうど当たっていますし」

 誰か話相手が欲しかっただけなのか、1時間以上は時空遡行についての話を一方的に聞かされている。

 時空断層。その文字の通り、時空中に発生する"時間のずれ"みたいなものである。つまりは、此処以外の時空からはその断層の中へは時空遡行ができないポイントなのである。これは潤の両親が事故にあった瞬間から明日の午前零時まで繋がっている。つまり、この四年間は他の時間帯からは来ることができない場所となる。

 なら、何故あなたがたはこの時間に来ることができたんですか?

「それはですね・・・未来や過去からこの時間帯には直接には来る事ができないのですが――また、過去から普通の時間の流れに乗ってこようとしても、事故の瞬間から4年後に飛んでしまうのですが――私は他の人に真似できないある魔法を使えるのですよ。それを使って此処まで来た、ということです・・・・・・って聞いてます?」

 この本はちょっと古い物だけど、文法はそれほど難しいものではないみたいだな・・・予想より400年は早いものの様だ・・・・・・おっと、つい本に夢中になってしまった。 それで何でしたっけ?

「いえ、真面目に会話をしようとした私が悪かったです・・・」

「そんなことよりもお腹が空いたのですが・・・コンビニ行ってきてもいいですか?」

「お腹が空きましたか・・・実は我々もです・・・では、さっさと終わらせるために時間を少し進めましょう」

 そういったが早いが、その男はなにやら地面に半径3メートル程度の範囲に幾何模様を書き出し、空に向かってなにやら呪文を唱えている。つられて潤も空を見てみると、薄暗い空には靄がかかって・・・否・・・これはこの模様の中から出てきている。

「ちょっと下がってください。近づきすぎると貴方の"時間"が乱れてしまいますので・・・ぁ、魔方陣からは出ないでくださいね」

 何も変わったようには見えないが・・・腕時計も普通の時刻を指している・・・

別の惑星?

2007年4月12日 平行世界
 魔法を使う世界。それは一体どういうものなのか、我々には定かに分かるものではない。しかし、<パラレルワールド>ではそのようなものも実在しているはずなのだ。我々と違うのは<パラレルワールド>が所以であろうから。
 潤は今、図書館からの帰り道である。魔法で風呂敷に包まれた多数の本が、浮遊の呪文によって浮かされ、夕焼け色に染まっている。彼は宙に浮いた包みに視界の半分奪われていたが、舗装のされていない河原道も全く躓かずに歩を進めていく。今から家に帰れば夕飯前には確実に着く筈である。結果から言えば、潤はこの日、夕飯を食べ損なう事になるのだが。
 何故なら、土手に不思議な格好をした二人の姿を視認したためである。不思議な格好、一人は腰から長い刃物と短い刃物をそれぞれ鞘に収められてかけてあり、服装もどこかの国の民族衣装を連想させるものだった。もう一人も着ている服はおかしく、右手に杖みたいなものを握っている。その人は座っていた土手から立ち上がり、土埃を払ってこちらに向かって歩いてくる。彼の表情は向かいの太陽の光によって見ることができず、しかし、胸元で何か金属が光っているのは分かった。多分潤はこの後何をすればいいのか分かっていたようらしいが、それは本人に確かめなければ分からない話である。

「貴方が潤さんですね」

それは潤と彼とのファーストコンタクトだった。
 
「テスト明けで忙しいのであるのだがね」

冷たい返事を、潤は投げ交わした。電波青年に用はない・・・・・・

「僕の事は聞いていらっしゃいますよね」
 最早質問ではなく、確認を取るだけのような発言である。土手にはもう一人が暇を弄びながらこちらを眺めている。

 過去から来る人。そう、未来予知した変人は机の中から出てきて、
「2週間以内に不思議な格好をした二人組みに出会うだろう」
そう言ったきりすぐに机に吸い込まれるようにして消え去った。
何処かで見たことあるような現象だが、その日はこの国では滅多に見ないほどの異常気象だったし、そんな事もあるのだあろう、と思ったりしていたのだが・・・

「・・・・・・」
 潤は三点リーダで返答した。というよりも、机から出てきた人間の事を思い出していて、他の事を考えていなかっただけだが。
「・・・貴方は・・・過去から来たって言うつもりじゃ・・・ありませんよね?」
「過去を変えるととんでもないことになるぞ!!止めるんだ、悟!!」
 そう純一は叫んだ。彼はこの時、自分はとんでもない過ちを犯したことをようやく悟ったのだ。あの時の彼の実験ミスさえなければ、このような事に発展しなかったはずだ。まして、その後にこの研究をしたことも・・・・・・。しかし、過去は変えられない・・・・・・。だが今なら・・・・・・

「・・・・・・哀川君・・・・・・起きなさい・・・・・・哀川君・・・・起きろー!!」
 "今は・・・・・・そうか・・・・古代語の時間だったような・・・・・・"
 哀川潤。彼は今、高校2年生である。従って、授業を真面目に受けなければいけないはずである。ましてや此処は県下で1,2を争うような進学校に通っているのに。
 哀川潤は教壇から最も離れて席(窓際の一番後ろ) な訳で気も緩んでいるのだ。寝ぼけ眼でクラスを見渡す。汚い字で書かれた黒板、殺風景な教室、目の前の生徒は教科書に隠れてゲームなんてしてやがる。そして36名の男女生徒のほぼ全員がこちらを見ている。
 "嗚呼、まだ眠いのに・・・・・・"
「哀川君。寝ていたペナルティとして今読んだところを現代語で黒板に書きなさい。"綺麗な字"でだぞ」

 そして哀川潤からは平和な日常が奪われていく。

 第四次宇宙暦3021年。太陽系第三惑星。この星の人々は之を"地球"と呼ぶ。だが"我々"とは全く違う世界なのである。
 多くの緑が残る日本があり、イラクではアメリカ等の先進国の軍隊が居座り、ハワイは一年中暑いところである。
 此処まではほとんど"我々"と同じなのだが・・・・・・一つ決定的に違うこと・・・・・・そう、この世界は"科学"で成り立っているわけではない。即ち、"魔法"で成り立っているわけである。
 中世ヨーロッパ。そこでは魔法が忌み嫌われ、多くの"魔女狩り"が行われた。実際、魔法を実際に使ってなくとも(最も"我々"はそんなものは信じないが) 使っているように見えただけでも、処刑されてしまう人は多くいたそうだ。
 だが、"我々"と決定的に違った場所が此処である。実際、この地球上には"魔力を発する物"が存在すると考えた人がいた。その人は、30年かけ"魔力を発する石"を見つけれ事に成功したのだ。
 此処から先は話は簡単。"科学の文明"と"魔法の文明"の逆転が起きているわけだ。そう、此処は平行世界である。又特徴的な点が一つある。先ほども述べたように、"その点以外はほとんど変わってない"のである。平行世界であればもう少し変わってもいいのだろうに、なんとも不思議なことだろうか。

「面白いプロローグだな・・・・・・この本も借りとくか・・・・・・」
 哀川潤は今、図書室にいる。先ほどの授業で怒られ、帰りのHR後に続けて古代語の先生に怒られたが、勿論懲りていないのだが。
 私立の進学校と言うだけのことはある。蔵書数が半端ではないのである。右を見ても、左を見ても、限りなく書籍棚が永遠と並ぶ。その多くの本の中にいる哀川は顔に満面の笑みを浮かべながら、そして、両手に多くの本を抱きかかえて歩いている。本が自分の慎重以上に積み重なっても、浮遊の呪文を使いさらに多くの本を集めている。
 "よ〜し、これだけあれば十分だろ・・・・・・"
 この学校では一度に5冊までしか貸出を行っていない。だが、この学校では毎月テストが行われ、その成績上位者は多くの特典が付いてくる。そのうちの一つに、"本は無限大に借りることができる"というものがある。哀川はこの特典を聞いた瞬間から勉強に目覚めたのである。
 とは言っても、それはテスト一週間前からだ。今はテスト明けな訳でしばらくは毎日読書だけに全ての神経を使うことだろう。

平行世界?

2007年4月12日 平行世界
 ブラウ達が宿に付いた頃である。同じ町の商業区である事件が勃発しました。この町でこのような事件が起こるのは日常茶飯事です。物騒な街ですが、警護隊がしっかりしていますのですぐに事件は解決するはずです。

「貴様等は完全に包囲されている。武器を捨てて直ちに出てきなさい」
 警護隊と思われる魔法使いが拡声呪文である店に呼びかけている。ある二人の男は魔法具屋に立て篭もっているのだ。彼等の罪状は家宅侵入、窃盗、器物破損、殺人未遂などなどである。つかまれば終身刑以上は確実である。
「どうするよ、頼道。このままじゃ捕まるぞ・・・」
 犯人の一人が呟きます。
「まだ大丈夫だ・・・この魔法具の中にかならず何か・・・脱出の糸口があるはずだ・・・」

「へぇ、知宏を助けたってのは君達の事だったんだぁ・・・」
 事件の一報を知らない御一行此処にあり。知樹さんと宝石引き取りについて審議しようと、カーキは思ってます。
「そこで私達はこの宝石を換金してもらいたくて此処までやってきたのですよ」
 相変わらず、お金に執着を見せているカーキです。しかし、知樹さんは困った顔をしています。
「う〜ん、でもなぁ・・・あいつはこの町にはいないんだよなぁ・・・」

「よし・・・見つけたぞ・・・この魔石なら・・・」

「よし!!知宏に代わって私が換金してやろう」
本当ですか、そうカーキが言おうとしたときです。

「パラララララララ」

 カーキの声はおかしな音にかき消され、その直後に爆発音が聞こえました。そして宿の中に片腕を負傷した警護隊と思われる人が入ってきました。それと同時にさっきまで座っていたはずの知樹さんが宿を飛び出していきました。
「一体何が起こったんだ!?」
 ブラウが困惑しています。またカーキも唖然としています。どうやら外で何かがあったことは理解できたようですが、身動きがとれません。すると外に出て行った知樹さんの声が聞こえてきました。
「御前達を時空法第三条により逮捕する」

 場所は宿の外です。"マシンガン"らしきものを構えて立っている男二人に立ち向かっている知樹さんがいます。
「誰だ、てめぇ・・・時空法ってこの世界はパラレルワールドのはずじゃ・・・他に来る人なんているはずが無い・・・」
 知樹さんは馬鹿な二人を見るかのように仁王立ちしています。
「そうだ・・・時空警察なんて入る余地がない・・・」
 困惑した二人組みの犯人は知樹さんに向かって手に持っていたマシンガンを撃ちました。フルオートです。
 しかし、知樹さんは手に持っていた"宝石"をかざすと、銃弾は全て知樹さんの前で止まりました。どこかの映画でありそうな1シーンです。
「私にそんなものなど通用しない・・・素直にお縄を頂戴せよ・・・」
「重力魔法だと・・・そんな・・・この時代では・・・ならば一旦元の世界に戻るまでだ!!」
 二人は手に持っていたマシンガンから"宝玉"をはずすと、いつの間にかもう一人の男の手に持っていた小さな機会にそれを埋め込みました。

「おかしい・・・過去は変えていないはずなのに・・・」

 その言葉を残して二人の男は消え去りました。その場には二組の足跡がくっきりと残っていました。
 そして、その言葉を宿の前で傍観していたブラウ達が聴き終わる前に、知樹さんの姿もなくなってしまいました。

「嗚呼・・・お金を・・・」
「またあの店に行けばいいさ、カーキ」
 ブラウはカーキの肩を叩いた手とは反対の手に一枚の紙が握っていました。誰からの者かは言う必要がありませんね。

平行世界?

2007年4月12日 平行世界
 ブラウとカーキはあれから、三人が泊まっている宿とは別の宿に向かっていた。勿論、あの"芸術家さん"に出会うためです。
「お〜い、カーキ、ブラウ〜。換金してきたぞ〜」
 しばらくの間、登場していなかったシルバの登場です。彼はカーキに"命じられて"冒険で手に入れた金銀を現金に換えてきたのです。勿論、このことに誰も反論しません。命は大事です。
 シルバは二人のもとに近づいてきます。流石は冒険家、走っても息を切らしません。
「換金して、まぁ、ざっと170万ゴールドあったな」
「そう、予定通り。じゃあ早速、そのお金で消耗した日用品を買っておいて。ランプの油も少ないからそれも御願い」
 御願いではありません、命令です、ブラウは思いましたが口には出しません。こちらも命を大事にしています。
 しかし"命令された"シルバの顔には笑みが浮かんでいます。
「嗚呼・・・すまないが次の冒険には参加できなくなった・・・俺の友達に偶然あってな、そいつの帰郷の村が魔物に占領されているんだ。だから村を救うのに手伝ってやらないといけない」
「そぅ、それは仕方ないわね・・・」
「まぁ、がっかりするな。多分俺は一ヵ月後にエルゴレンにいると思うから、そこで落ち合おう」
「OK。がんばってね、シルバ」
 そして、シルバは立ち去って行きました。
「・・・買い物係が・・・嗚呼!!お金置いていけー!!」
 シルバは後ろ手に手を振りながら、
「之は俺の報酬だ。だからもらっていく」
「あんたはほとんど何もしてないでしょー。この役立たずー」

 勿論、シルバが欠けた為、ブラウに買い物係の務めが回ってきます。
「換金したら買い物言ってきてね♪」
「まぁいいよ。買い物とか好きだし・・・」
「また余計なもの、買ってこないでよ」

 ある宿の前。一人の少年と一人の少女が立っています。彼らはあることをする為に此処にやってきました。
「すみませんー。こちらに"小松知宏"さんは泊まっていませんかー」
 店員が宿の中から出てきます。バー兼宿の建物の中では多くの人で賑わっています。
「はーい。ちょっと待ってねー。はい、こちらビールとつまみです」
 店員も忙しそうです。
「えーっと、お泊りですか?」
「いいえ違います。こちらに小松知宏さんが泊まっていらっしゃるを聞いたんですが、いらっしゃいますか?」
 店員は宿泊帳簿を開きながら言います。
「えーっとね・・・そんな人、泊まっていないですね・・・でも"小松知樹"さんって人は泊まってますね・・・」
「ん〜、人違いのようだね、カーキ」
 何か合点のいかないカーキ。
「・・・いや、待って。確かその人は・・・その人、今何処にいます?」
 店内を見回す店員。
「・・・あ、あの席の青い服来た男の人ですよ」
「ありがとう御座います」
 流石はブラウ。礼儀がなっています。

「あのー、すみません。貴方はもしかして小松知宏さんの弟の知樹さんですか?」
 その男の人は振り返りつつ、返事をしました。
「はい、そうですが何か御用でしょうか、お嬢さん」

平行世界?

2007年4月12日 平行世界
 ブラウ一行はあれから2日後、ロンド地方で最も商業が盛んな街「イルス」に来ていました。そして、ある大きな宝石商のお店にブラウとカーキが手に入れた宝石類を換金するためにいました。
「ふぅむ・・・これすべてで7,500万ゴールドというところでしょうかね。」
 しかし、納得の行かないカーキは宝石商を畳み掛けます。
「そんな訳ないわ。これだけあれば1億5000万はいくはずよ。嘘つかないで。そんな事すると為にならないわよ」
 宝石商だって黙っていません。
「お嬢さん、あまり出鱈目な事を言うと、警察を呼びますよ」
ぁ、切れるな・・・とブラウは思いました。しかしカーキの行動は予想を遥かに超えるものでした。
「・・・ブラウ、別の店に行こう。。。」
「きっ、切れないなんて。。。この世は終わるんじゃないか!?」
 パコグハスパッサッ
 今の音は、ブラウの発言をカーキが運悪く聞いてしまい、ブラウが短剣の鞘で殴られ、それがわき腹に入ってしまい呻き、続いて鞘から抜いた短剣をブラウに切りつけたが、ブラウはなんとかかわした音です。

 腹をおさえたブラウと何故か意気揚々のカーキが店から出てきました。
「ブラウ、なんでこんなにも私が嬉しがっているのか、ってのが不思議になっているみたいだね♪」
不気味だよ、勿論口には出しません。
「さっ、さぁ? そんな事知るわけ無いじゃん」
「ふっ、ならば教えてあげよう、ブラウ君。なんとあの有名な宝石細工商人"小松知宏"がこの街に来ているんだ〜♪しかもお忍びで♪」
 ブラウは未だに納得できません。できる訳ありません。
「それとこれとどう関係あるのさ? まさか買い取ってもらうとか言うんじゃないよね? 個人では無理な額だよ?」
 にやり。カーキがシニカルに笑います。
「なんとまぁ、忘れてしまいましたか・・・あの時の鉱山で私達が助けた"芸術家さん"だってのに・・・」
「ん〜っと、だんだん思い出してきた・・・嗚呼、あの時の人か・・・」
 あの時とは、今から4年前。ブラウとカーキがまだ旅立ったばっかりのころ。ある低レベルの鉱山のダンジョンにカーキとブラウが鉱山の中で、多くのモンスターに襲われているその人に出会った時のことです。その時に二人はその"芸術家さん"に助けたのです。ちなみに、そのちょうど1年後、知宏さんが宝石細工の職人として多くの賞を手にしたのです。
「それでその時に、宝石類を鑑定額の2倍で引き取ってあげる、と言ったんだよ〜」
「よく覚えていたねぇ〜やっぱりお金のことになるとすご――ぐはっ」
「フリーズ!!」
 その声が聞こえたと同時に辺りの温度が下がった。
 フリーズ呪文だ。蘇生するモンスターを切るかコールド魔法を使った後にこの呪文を唱えればモンスターの息の根を"完全に"止めることができる。
「ブラウ、そっちの蘇生モンスター御願い。こっちは罠があるから任せといて」
「OK。シルバ、二日酔いでダウンしてないで手伝ってよー」
「・・・」
 ある森の中。ある三人のパーティがダンジョンに入って"お宝"を手に入れたのだが、残党のモンスターの群れが彼らを追ってきている。主に蘇生モンスターのキーンバッド、そしてこの森に住む多くのゴブリン達だ。
「しつこい奴らだな。仕方無い、負担が大きいけどこの魔法を使うか。。。フローズン!!」
 その瞬間、その周りにいたモンスター達の動きが止まった。勿論、その呪文の効果である。
「みんな、今のうちに逃げるんだ!!この呪文の効き目はそう長くない」

 一時間後。
 どうやら追っ手は巻いたようだ。
「シルバ!!まったく戦力にならなかったじゃないの!!」
「・・・カーキ・・・大声で怒鳴らないでくれ・・・頭に・・・・響く・・・」
「だいたい出発前日にあんなにお酒を飲む?ふつー」
「・・・クカー・・・ZZzzz」
「・・・ブラウ、この人を殺して・・・」
そしてブラウは持っていた短剣を手に取り、シルバを刺しました・・・ということも無く、普通に受け流しました。
「・・・しばらく休憩を取ろう」

 時はロンド連邦暦899年。
 この地方は連邦国家だ。全部で21の加盟国で成り立っています。この世界は全部で六個の大陸と多くの島国から成り立っています。そのうちのひとつの大陸が此処、ロンド連邦のある場所です。最も治安の良い場所として有名です。
 しかし、多くのモンスターが世界中の至る所に住んでいます。そしてそのモンスターの住処には多くの金銀財宝があり、それを求めて多くの冒険者が世界中を彷徨っています。そこで国際連盟(6大陸と200も連なる島国の連盟)は"冒険者ギルド"を設立しました。 そこでは冒険者となるための"試験"を受けた者たちは、ギルドの設備を無料で利用でき、その際に発行されたIDカードを使えば多くの施設を格安での提供を受けることができます。

 ブラウ一行から180km西にある場所で。
「だいたいなんで初任務でいきなり森の中に出るんだ?」
「仕方ないだろ。平行世界に誰も来た事無いんだから」
またまた変な会話をする人間が二人います。
「はやく見つけて元の世界に戻るぞ」

プロローグ

2007年4月10日 平行世界
第四次宇宙暦3211年

ある星で平行世界についての研究をしていた。
平行世界、つまりパラレルワールドは所詮夢とされ、その研究をしていた人たちは迫害され続けてきた。
そんな中、ある私的組織がその研究に成功、平行世界に行くことが分かったのである。それは科学の大きな進展だったが、その組織はその星でとても貴重で高値で売られているあるものを平行世界で手に入れ、それを持ってきて売ろうというのである。

しかし、その考えが彼らを絶望のどん底に落とそうなんて
その時は誰も思いつかなかった。

因みに修正verは夏頃までに完成の予定(受験あるのに・・・

プロローグ終了
多分後から追加すると思う。。。

無題

2007年4月10日 連載
タイトルなんてないs(蹴

小説置場として新たに設置したブログの模様

つかダイアリー以外にリンクが繋がらないのがちょい残念だw

取りあえず、今手元にある小説で書いてる途中が5種類(ぉ

全部書き込みも大変だし、元々のブログで書いてた連載系のを取りあえず提示しようと思う

もし目に入ったら見てやってくr(ry

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